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| プロフィール |
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Author:しげぞう
☆ご訪問ありがとうございます。 それゆけ忍者(完結掲載)
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| それゆけ忍者 【自作小説】幸運をまねく奇跡の仔犬と忍者のヒューマン物語 |
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| 第二章 その2 |
ラッキーもリビングで「ワン・ワン」と、かわいく鳴きながら尻尾を振って走り廻っていた。 二人はソファーに腰を沈めると、奥さまは珈琲を持ってきてくれた。珈琲カップもイタリア製のおしゃれで豪華な陶器。さすがの江美も始めて見る逸品だった。 奥さまは上品に珈琲を一口飲んでからしみじみと話し始めた。 「私は結婚して二年後に流産したの、それからは子どもができなくて、いくらほしいと思って努力してもできなかったの。子どもはつくるというより授かるという意味がしみじみわかります。夫婦だけでは寂しいものですから、犬を子どもと思って飼っていたんですよ」 「そうなんですか、子どもができなくて……」 「実はこの子の名前でいろいろ悩んだの。ラッキーじゃあなく違う名前にしようと思ったんですが、やはり初代のラッキーが忘れることができなくて、この子を三代目のラッキーにしたのよ」 「えっ……三代目?」 「そう三代目なの。初代のラッキーは確か二十年前になると思うわ。コリーですごく賢い犬だったのよ」 「コリーと言えば、アメリカのテレビドラマですごく人気があった名犬ラッシーを思い出しますね」 江美がそう言うと……奥さまは不思議な顔をして、 「私はその名犬ラッシーのテレビドラマを見てコリーが好きになったのよ。でも、なぜ? 江美さんはお若いにそんな昔のドラマを知っているの?」 「ウチは映画やドラマが大好きだから、よくビデオをレンタルして観てるんです。特に動物の出演する作品はすべて観ていますよ」 「それで……納得したわ。うちの主人も映画やドラマが大好きなのよ」 「へえ……ご主人も好きなんですか」 江美は珈琲を一口飲んで、奥さまの話に耳を傾けた。 「もう三度の食事より好きみたいですよ。あら……話しがズレたわね、ごめんなさい。それから初代ラッキーと十三年間一緒に暮らしたのよ。亡くなったときは実の子どもが死んだように悲しくて寂しかったわ」 「お気持ちはわかります……犬も一緒に暮らしていたら犬じゃなく。もう、子どもと同じですよね」 静かに聴いていた、里香がしみじみと言った。 「本当に子どもだと思って飼っていたものですから……余計に辛くて。それから二代目はミニチュアダックスを飼ったの。すごくかわいい犬だったんですが、去年ガンで死んだの。手術が成功して完治すると思っていたんですが、再発して……かわいそうだったわ」 「ガンって人間でも犬でも怖い病気ですね」 「本当にガンは怖い病気だわ。特に犬の場合はどこが痛いって言えないから、食欲と便の状態を見て判断してあげないといけないでしょう。二代目のラッキーはちょっと体調がおかしいなと思ったとき、もう胃ガンはかなり進行していたの。もっと早く気づけばと後悔しているのよ」 「そうだったんですか……かわいそうに」 江美と里香は涙を浮かべて呟いた。
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| 第二章 その1 |
翌日、オークションでミニチュアダックスの仔犬を購入した白髪の婦人からわんランドへ電話があった。受話器を取った店長は白髪の婦人とわかると、 「昨日は、誠にありがとうございました」 丁重にお礼を言うと、 「こちらこそ、本当にありがとうございました。早速、しつけをしてもらいたいと思ってお電話させていただきましたの」 「はい、かしこまりました。担当の服部江美に替わりますので、少々お待ちください」 電話に出た江美は白髪の婦人と楽しそうに話をして、最後にしつけの日時を決めて電話を切った。 アシスタントの里香は急いで白髪の婦人の顧客リストを確認すると氏名は大沢純子、住所は帝塚山……、ここは大阪府下で屈指の高級邸宅街。そしてお金持ちが多い地域で有名だった。 翌朝十時頃、江美の運転するワゴン車は国道二十六号線の玉出付近を走っていた。数百メートル進んで交差点を左折すれば、帝塚山にある大沢邸に到着するとカーナビがしゃべっている。 電話番号を入力するだけでモニターと音声で目的地まで道案内してくれるから、まだ大阪の街にうとい江美でも迷うことはない。 帝塚山はやはり噂に違わず高級邸宅が街並みを埋め尽くしていた。あちこちの大きな庭から満開の桜が誇らしげに咲いていた。 「江美さん、あそこの豪邸が大沢さんよ」 「ほんとすごい豪邸ね……里香ちゃん、大沢さんに電話してくれる」 里香が電話をすると、すぐガレージの自動扉が開いた。ガレージにはボルボとポルシェが駐車してあった。まだ三台は余裕で駐車できそうな広いガレージだった。 江美はワゴン車を駐車して広い庭に出ると芝生が敷き詰められ、塀側には立派な桜の木々が美しい花をちりばめていた。奥さまは仔犬を連れて庭の中央で出迎えてくれていた。 仔犬をオークションで販売してもう三日が経っていた。仔犬は江美と里香を見ると尻尾を激しく振って大喜びして戯れついてきた。 「おはようございます。奥さま今日はよろしくお願いいたします」 江美と里香は戯れる仔犬と遊びながら元気よくあいさつした。 「おはようございます。江美さん、里香さん、こちらこそよろしくお願いします。そうそう、この子の名前が決まりましたよ」 「そうですか……で、何と言う名前ですか?」 里香は大きな声で訊ねると、 「ラッキー」 奥さまは微笑んで答えた。 「ラッキー、いい名前ですね……。よかったねラッキー」 江美と里香は仔犬の頭を撫でながら、名前を何度も呼んでいた。 「ありがとうございます。ちょっと休憩して珈琲でもいかが?」 「すみません、ありがとうございます」 二人が案内されたリビングは五十帖のフローリングで調度品はすべてイタリア製。壁際には百インチの液晶モニターが大きな顔をして居坐っていた。鮮やかな緑の観葉植物が窓際にセンスよく置かれていた。 しばらくするとキッチンから香ばしい珈琲の匂いが漂ってきた。(あぁ……いい香り、気持ちがリラックスする)と、江美は大きく息を吸って腹のなかで呟いた。
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