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| プロフィール |
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Author:しげぞう
☆ご訪問ありがとうございます。 それゆけ忍者(完結掲載)
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| それゆけ忍者 【自作小説】幸運をまねく奇跡の仔犬と忍者のヒューマン物語 |
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| 第五章 その11 |
沙也加と母親は黙って頭を深々とさげていた。 「夜分大変申し訳ございませんでした。本当にありがとうございました」 丁重に奥さまがお礼を言うと、ラッキーは奥さまの腕からするりと抜け出して沙也加の膝に飛び乗った。 みんなは驚いてラッキーを眺めていた。 たまりかねた沙也加は、ラッキーを優しく振り払って奥さまに渡した。 「さあ、ラッキーお家へ帰りましょう」 と言って抱っこした奥さまの顔が真っ青になった。 ラッキーの目から涙が流れていた。 奥さまは涙が溢れ嗚咽をこらえながら観念したように、優しくラッキーを畳に降ろした。 ラッキーは奥さまの目をじっと見て「クーン・クーン」と鳴いてから、沙也加の側へ尻尾を振りながら行った。 その光景をじっと見ていた大沢は、 「……沙也加さんには負けました」 涙を流しながら呟いた。そして、 「なぁ……純子、ラッキーを沙也加さんに譲ろう。いいだろ?」 奥さまは泣きながら頷いた。 「えっ、本当ですか、ありがとうございます。いくらで譲っていただけるんですか?」 沙也加は素直に訊ねた。 すると大沢は、 「ラッキーを助けてくれて、これだけかわいがってくれたお礼としてラッキーは沙也加さんに無償で差しあげます。そして、約束通り礼金として百万円は受け取ってもらはなくては困ります」 誠実な態度ではっきり言い切った。 「ほ、本当にいいんですか?」 沙也加は驚いて訊ねた。 「はいっ! 本当です。私たちはラッキーからお金では買えない大切な心を教えていただきました。どうかこれからはラッキーいや光チャンをよろしくお願いします。そして、一日も早くお母さまとお婆さまがお元気になられ、ご家族が幸せになられることを心から祈っています」 それを聞いた瞬間、沙也加と母親は感激して大声で泣き出した。 大沢の人情味あふれる光景を目の当たりにして、里香は大きな瞳から滝のように涙が溢れていた。江美は静かに閉じた両目から一筋の涙が頬を流れた。どんべえも「キューン・キューン」と感動して泣いていた。 江美たちはそれぞれが複雑な気持ちで高橋宅を跡にした。 車中、寂そうにしている妻に大沢は、 「純子ありがとう。今は寂しいだろうが、明日、わんランドに行って好きな仔犬を買ってきなさい」 「あなた、本当に良いんですか」 「もう、俺は心も体も元気になったから、健康のことは気を使わなくて良いから、純子が好きな仔犬を買ってきなさい」 「あなた、ありがとうございます」 「なぁ……純子、良いことをすればこんなに気持ちが晴れ晴れするとは……」 大沢はそう言いながら朗らかに笑い出した。 そして大沢はさわやかな口調で、 「江美さん、本当にありがとうございました。これからも忍術をよろしくお願いいたします」 「えっ、知っていたのですか?」 「ええ、城田からすべて聞きました」 「大沢さん、今夜はまったく忍術を使っていないですよ」 「そうなんですか……。まあ、俺にとっては忍術を使っても使わなくても、こんな素晴らしい結果になったことに心から感謝しています」 「大沢さん、ありがとうございます。これからもわんランドをご贔屓によろしくお願いします」 狭い車中にさわやかな笑い声が響いた。
了
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