それゆけ忍者
【自作小説】幸運をまねく奇跡の仔犬と忍者のヒューマン物語
第一章 その5
 店長は慌てて女性に近づきカゴを受け取った。恐る恐るカゴのなかを見ると間違いなく写真通りの仔犬だった。店長はホッとして胸を撫で下ろした。
 江美は仔犬を抱っこして頬ずしたり、キスをしたりして、まるで無邪気な子どものように喜んでいた。どんべえも大喜びして、仔犬の側から離れようとしない。親から離れて来た仔犬が寂しがらないように、ずっと優しく面倒を見てくれていた。
 全国でペットの関心が高まるなか、特に犬の人気はグングン伸びていた。テレビのペット番組もたくさん増えていることを思い出した店長は、早速、わんランドのコマーシャルで利用しているテレビ局に電話した。
 担当のディレクターに「幸運をもたらす奇跡の仔犬」のことを話すと、アナウンサーやカメラマンなどスタッフを大勢連れて取材に飛んで来た。
 取材後、ディレクターは楽しくて興味深い内容に編集して、週末の土曜日にペット番組の超目玉として十五分間、関西方面で放映された。
 すると、翌日は日曜日ということもあって、開店の二時間前からわんランドの入口は長蛇の列ができた。テレビ放映の影響力はこんなにも凄いのか……と、店長は感心しながらスタッフにテキパキと営業準備の指示をした。
 午前十時、スタッフが入口が開くと、お客さんはまるでバーゲンセールのように我先にと押し合い掻き分けながら、テレビで紹介されたミニチュアダックスAZの仔犬の前に集まった。あっという間に柵の周りは黒山の人だかりができた。
 仔犬はたくさんの人を見て大喜びして、可愛く尻尾を振りながら飛び回ってはしゃいでいた。
 柵の前で子どもたちは、
「わあー、めっちゃかわいい」
「見て、見て、キラキラ光ってるよ」
「こっちこっち、わんチャンこっちおいでよ」などと言って大喜びしていた。
 お客さんは子ども連れの家族が目立っていたが、中・高・大生の若い男女や年配の壮年、婦人も少なくなかった。
 仔犬の柵の前には「幸運をもたらす奇跡の仔犬」と、タイトルの目立つポスターが貼ってあった。そこには「購入を希望されるお客さまは店長までお申し出ください」と、書いてあった。

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