それゆけ忍者
【自作小説】幸運をまねく奇跡の仔犬と忍者のヒューマン物語
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第三章 その7
 その頃、大沢邸ではいつもの小学生たちがラッキーと遊びにやってきた。奥さまは子どもたちに何と言おうか迷っていたが、思い切ってラッキーがいなくなったことを正直に話した。
 それを聴いた子どもたちは驚いて、
「家出したのかな? そんなはずないよね」
「誘拐されたの?」
「ラッキーどこにいるのかな?」など、
 みんな心配しながら思い思いに口ばしった。なかには大声で泣きだす子どもまででてきた。
 奥さまは悲しむ子どもたちに心が痛んで、
「心配かけてごめんなさいね。でも、今、ラッキーを捜してもらっていますから、直ぐに帰ってくると思うわ」
 と、心と裏腹のことを言って子どもたちを慰めた。
 しかし、子どもたちは不安で仕方がなく、みんな輪になって集まりひそひそ相談を始めた。
 しばらくして、小学三年生の山田奈々が、
「おばちゃん、私たちもラッキーを捜しに行くことに決めました。いいでしょう」
「ええ、捜してくれるの?」
「うん、ラッキーはきっと寂しがっていると思うから」
「そうね……ラッキーも寂しくて泣いているかもしれないわね」
「うん、ラッキーかわいそうだから……捜しに行くよ」
「奈々ちゃん、ありがとう」
 そう言った奥さまの目に涙がきらりと光った。
「さあ、みんなラッキーを捜しに行くよ」
 奈々は大声で呼びかけると、みんなは「オー」と手を高々と挙げた。
「じゃあ、おばさん行ってきます」
 子どもたちは走って庭からでて行った。
「気をつけてね、無理しては駄目ですよ」
 奥さまは子どもの背中を追いかけるように、声を投げかけた。
 しばらくすると、帝塚山の街に「ラッキー、ラッキー」と呼びかける黄色い声がこだました。
 行き交う人たちは驚いて怪訝な顔をして見つめていた。
 なかには親切に、
「みんなどうしたの?」
 と、心配そうに婦人や壮年から訊ねられることもあった。
 すると、奈々は両手を広げてこんな大きさで、黄金のミニチュアダックスの仔犬のラッキーがいなくなったので捜しているんです。知りませんか? と、反対に訊ねて歩き回っていた。
 陽が沈みかけた頃、奈々は涙を流しながら必死で絶叫していた。しばらくするとみんなも奈々につられて泣きながら叫んでいた。
 子どもたちの捜索は帝塚山とその周辺だけだったが、必死な子どもたちの姿を見た大人たちは誰もが同情していた。
 声も枯れた奈々たちは、遂に陽が暮れ薄暗くなってもラッキーを見つけることができなかった。仕方なく泣き泣き諦めて解散した。

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