それゆけ忍者
【自作小説】幸運をまねく奇跡の仔犬と忍者のヒューマン物語
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第三章 その4
 大沢は新世界の通天閣の側にあるパーキングにベンツを駐車して、南の方向へ歩き出した。江美のワゴン車も近くのコイン駐車場に車を止めた。そして、江美は素早くお婆さんに変装した。どんべえもかわいい服を着せて変装させ、散歩をしているように見せかけて大沢の尾行をすることにした。
 江美は里香にインターネットで大沢の会社の最新情報を調べることを指示して、車を飛び出して大沢を追った。
 しかし、大沢の姿はもうどこにもない。だが、どんべえが側にいるので安心だった。どんべえの鋭い鼻で大沢の匂いを嗅ぎつけ尾行を始めた。
 里香は大沢が代表取締役社長をしている会社を特殊な検索方法で調査を始めた。メインは建設会社だった。そのグループ会社に設計事務所、健康食品、ソフト開発などがあった。
 情報を調べていくと大沢は企業買収にも関わっていることがわかった。この五年間で三社の企業を傘下にしていた。
 半年前にも一社を傘下にしていた。その会社は大阪市内にあるソフト開発だった。現在、社員五十数名で主に携帯電話関連のソフト開発を中心に事業も展開していた。
 近い将来、携帯電話を利用したさまざまなサービスが新しい情報化社会を創っていくだろう。そこに、大沢は目をつけて傘下にしたのだろうと思える。詳しく調べていくとソフト開発会社には傘下にする以前の役員が一人も入っていないことがわかった。(どうもこの会社買収はきな匂いなぁ)と、里香は思いながら検索をしていった。すると、ソフト開発会社の元社長の情報が詳しく載っているサイトが見付かった。
 突然、車の窓ガラスを「コンコン」とノックする音がした。外をのぞくと二人の警官が笑顔で手を振っていた。
「あれ……よくわかったね」
 里香はドアを開けて訊ねた。
「そりゃ……腐っても警官やから、里香さんの芳しい香りを嗅ぎつけて来たんですわ」
「ウソばっかり、江美さんに聴いたんでしょう」
「ちょんバレですなぁ……まあそう言うことですわ」
「さあ、車に入ってちょうだい」
 中村は車内に入ると驚いて訊ねた。
「里香さん、うしろに並んでいる液晶モニターはなんでっか?」
「これは、追跡装置、遠隔操作、情報収集などができる最新機器よ」
「いや……びっくりしましたわ。まさか車にこれだけの装置があるとは……」
「この車の外観は普通に見えるけど、すべてが特注なのよ。エンジンは六千CCで三百キロは軽く出るわよ。それにボディーと窓ガラスはすべて防弾にしてあるの」
「そうでっか……ほんますごいでんなぁ」
 そう言いながら、中村は目を丸くしていた。里香は言ってしまったことを後悔しながら、
「これは、秘密だからここだけにしてちょうだいね」
 と、拝むようにお願いした。
「わかりました。あの……ついでにもうひとつ聞いてもいいでっか?」
「いいわよ」
「噂では、江美さんは忍者くノ一って、それはほんまでっか?」
「えっ、誰に聴いたの……?」
「望月警視が、ぽろっと伊賀に江美と言う名のすごい忍者くノ一がいてるってもらしてましたから」
 中村がそこまで知っているならまあいいかと思って、口の軽い里香は、
「……本当よ」
 と言ってしまった。
「やっぱり、そうでっか」
 中村は目を輝かせて里香の涼やかな目をじっと見つて頷いた。

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