それゆけ忍者
【自作小説】幸運をまねく奇跡の仔犬と忍者のヒューマン物語
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第三章 その2
 新世界(しんせかい)は大阪市浪速区恵美須東一丁目から三丁目にある歓楽街である。界隈に通天閣や幸福の女神ビリケン像も有名、ジャンジャン横丁があることでも知られている。戦前は通天閣及びルナパークの開業により、新世界界隈には芝居小屋や映画館、飲食店が集まり出し、国技館も建設され歓楽街の様相を呈するようになった。一方、周辺地域では市立天王寺動物園、飛田遊廓が開業するなど、一帯は庶民的な歓楽街として親しまれてきた新世界だったが、大手私鉄のターミナルに位置しないこと、観光の多様化などに伴い、近年は衰退していた。皮肉にも、発展していない「昔の繁華街」の雰囲気が、却って観光資源になっている面もあった。かつての新世界は、その独特の雰囲気で人々を惹きつけ、多くの小説・漫画の舞台ともなった。
 1997年新世界では久々の大規模施設としてフェスティバルゲートとスパワールドが、大阪市所有の市電車庫跡地に開業したものの、2004年6月にはフェスティバルゲートは経営破綻している。
 近年では、NHKの連続テレビ小説「ふたりっ子」の舞台として登場した。週末になると数多くの観光客が詰め掛け、通天閣や今や懐かしい手書きの派手な映画看板などをバックに写真を撮ったり、スマートボールに興じている様子が見られることから、歓楽街というよりは観光地の様相を呈している。
通天閣
 
 この地区の南側にあいりん地区がある。職を失った人達が日雇労働者として働きに行くステーションにもなっている。高度成長期のあいりん地区は早朝になると国道沿いにずらりと大型バスが並んでいた。堺などの工場から労働力を求めて大型バスでやって来て、バスの窓には日当現金払い五千円とか七千円と書いた紙が貼ってあった。それを見て日雇労働者はバスに乗り込んで働いて日当を稼いでいた。しかし、バブルがはじけてからは閑古鳥が鳴いていた。
 最近では日雇いの職に溢れた人たちがホームレスとして周辺の公園や空地で暮らし、また夜の商店街ではシャッターの前に段ボールのふとんを作って寝るような暮らしをしている人もたくさんいる。今や日雇労働者の暮らしが大きな社会問題になっている。
「江美さん、大沢さんは新世界へ向かっているようだわ」
「新世界か……、何か胸騒ぎがするわね。とりあえずウチたちも大沢さんを監視しようか」
 二人は急いでラーメン屋を出て、大沢のベンツを追跡することにした。
 一方、二人の若い警官は大沢邸の近所の店舗や邸宅へ聞き込みに奔走していた。通行人にもラッキーの写真を見せて訊ねているが、目撃した人はなかなか見つからなかった。
 帝塚山の一軒一軒の邸宅は敷地が広く門があって高い塀で囲まれているのがほとんどだから、家の中から外が見えないことも原因しているのだろう。
 そうこうしているうちに警官の上司から電話が入り、仔犬の捜索ごときであまり時間を使うなと注意され、早く署へ戻れと言われた。

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