それゆけ忍者
【自作小説】幸運をまねく奇跡の仔犬と忍者のヒューマン物語
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第三章 その1
 江美の運転するワゴン車は帝塚山の街を抜けると国道二十六号線を北へ数百メートル走って、すぐラーメン屋の駐車場へ入った。
「里香ちゃん、昼食にラーメンでも食べながら作戦を練ろうか?」
「確か、江美さんはラーメン食べると頭が冴えるんでしたね」
「ほんと、ラーメン食べると不思議に頭が冴えるんだよね」
「里香ちゃんも食べるよね、ウチがおごるから」
「わーい、ありごとうございます。私もラーメン食べて一緒に作戦を考えます」
 どんべえをワゴン車に残して二人はラーメン屋へ入った。昼時で賑わっていたが、幸い奥の二人用のテーブルに案内された。
 江美はヘルシーな忍者食ばかり食べているから、無性にとん骨のコッテリしたものが食べたくなるときがあった。
 テーブルにとん骨ラーメンが置かれると、二人は夢中になり一言も語らず、あっと言う間に食べてしまった。
Hakatara-men.jpg

「あーあ、美味しかったお腹パンパン」
 そう言って里香はお腹を叩いた。大阪育ちの里香は若いのに、もう大阪のおばチャンが少し入っていた。
「それじゃあ……里香ちゃん、ノートパソコン起動させてくれる」
「わかりました。何か調べるものあるんですか?」
「うん、それから……追跡ナビを開いてくれる」
「えっ、追跡ナビ? はい……開いたわ。あれ? 追跡ナビが動いてる……」
 里香はちょっと驚いたように言った。
「やっぱり、大沢さんが動き出したわね」
 江美は頷きながら呟いた。
「あの……江美さん、いつのまに大沢さんのベンツに発信機を取り付けたんですか?」
「どんべえから報告を聞いているとき、こっそりベンツの底に付けたの」
「そうだったんですか……全然気が付きませんでした」
「そりゃあ、忍者だからね」
 江美はささやくように言って微笑んだ。
「ところで里香ちゃん、大沢さんは何かおかしいと思わない?」
「思うけど……でも、大沢さんは被害者じゃないんですか?」
「確かにそうだけど、ラッキー誘拐事件はきっと大沢さんに関わりがあるわよ。これからそのことを調査しようと思っているの」
「あれ……? わんランドに戻るんじゃなかったの?」
 里香はキョトンとして訊ねた。江美を苦笑しながら、
「それは嘘よ。大沢さんを泳がすために、芝居をしただけなの」
「さすがは江美さんね。里香も騙されました」
「作戦には味方を欺くこともあるから……ごめんなさいね」
 江美は両手を合わせてかわいく謝った。
 追跡ナビの画面に映っているベンツは帝塚山から国道二十六号線を走って西成区へ入り、新世界の方面へ向かって動いていた。

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