それゆけ忍者
【自作小説】幸運をまねく奇跡の仔犬と忍者のヒューマン物語
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第二章 その9
 どんべえは玄関で背筋を伸ばして姿勢よくじっとお坐りして江美の指示を待っていた。江美はどんべえの頭を優しく撫でてから、小声でラッキーが消えたことを説明した。
 そして、江美はラッキーの遊んでいたおもちゃをどんべえの鼻に近づけると、「クン・クン」と匂いを嗅いで大きく頷いた。
 江美はどんべえに超敏感な鼻を使って屋内と屋外の庭や軒下の隅々、そして散歩コースの周辺を探すように指示をした。
 江美の話に頷くどんべえを見ていた奥さまは、夢でも見ているのではないかと頬をつねった。「痛い」と、腹のなかで呟いた奥さまは夢ではないと納得して、動き回っているどんべえを不思議そうに目で追っていた。
 しばらくするとバイクに乗った若くて逞しい警官が二人やって来た。門を開けて入って来た警官は、
「おはようございます」
 驚くような大きな声であいさつして奥さまに近づいた。
「奥さま、仔犬が消えたんでっか? 大変ですなあ……仔犬が消えるまでの状況を詳しく話してくれはりますか?」
 警官は独特な大阪弁で訊ねた。
 奥さまは江美に語った内容を話し終わると、
「そうでっか、不思議ですなぁ……。おれへんなった仔犬は毛がゴールド色のミニチュアダックスでんな?」
 警官は怪訝そうな顔をして訊ねると、
「そうです、ゴールド色です。珍しいミニチュアダックスですごく貴重な仔犬なんですよ」
 奥さまが答えると、
「そうでっか、すごく貴重な仔犬ということはごっつう高いんと違いまっか?」
 警官は目を見開いて訊ねた。
 奥さまの側で会話を聞いていた江美は、警官をちょっとからかうつもりで、
「ここだけの話しだけど、一千万円はするわよ」
 と、大風呂敷を広げて言った。
「えっ、一千万円!」
 純粋な二人の若い警官は目の玉がこぼれそうに驚いて叫んだ。
「……嘘よ、本当は五百万円よ」
 江美は微かに微笑んで言った。
「ひっかりましたなぁ……それでもすごい高級犬でんな」
 警官は苦笑しながら言った。そして、申し遅れましたと言って、大阪弁の若い警官は中村隆司、隣の若い警官は鈴木博之と自己紹介した。

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