それゆけ忍者
【自作小説】幸運をまねく奇跡の仔犬と忍者のヒューマン物語
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第二章 その12
 ラッキーは江美さんと里香さんにしつけをきっちりしてもらったのでとても行儀の良い仔犬なんです。それから人が大好きだから親しみを込めて頭を撫であげると誰にでも喜んで戯れつくんです……と、心配そうに奥さまは話した。
「そうでっか、参考になりましたわ……」
 中村はそう言って、写真をじっと見ながら頷いていた。
「中村先輩、こんなに特長があったら探しやすいですね」
「そうやなぁ……でも鈴木、舐めてかかったらあかんで」
「そうですか……」
「人間でも犬でも同じや、誘拐事件はごっつう苦労するで……、ええか鈴木しっかりたのんまっせ」
 それを苦笑しながら聴いていた江美は堪りかねて、
「もう……中村君その大阪弁なんとかならないんですか?」
 すると中村は照れ笑いして頭を掻きながら、
「すんまへん、いつも上司に注意されてまんねん。生まれつきやから堪忍してんか」
「ふーん、生まれつきなの……もう……いいわ。おもしろい警官が一人くらいいる方が楽しいから謝ることないですよ」
 江美はこぼれるような笑顔で言った。
 すると、中村は子どものような無邪気な笑顔で馴れ馴れしく、
「ところで、江美さん。仔犬を誘拐して犯人は何が目的なんでしゃろ?」
「そうね……、そんなことウチが訊きたいわよ」
「すみまへん、やぼなこと訊いて……」
「いいのよ中村君。これから調べたいと思ってるから、中村君と鈴木君も協力してくださいね」
「はい……喜んで。江美さんのためなら喩え火の中・水の中でもかましまへん」
 中村は真剣な顔をして言うと、江美は笑みを浮かべて、
「もう……ほんとおもしろいおまわりさんね。では捜査よろしくお願いしますね」
「はい、了解しました。早速、近所を捜査しまっさ」
「それから中村君、手がかりを見付かったらすぐウチに電話してくださいね」
 江美は電話番号を書いたメモを渡しながら言った。
「はい、では行ってきまっさ……」
 二人の警官は勇んで出ていった。
「ところで江美さん、私たちはどうするんですか?」
 今まで黙って聞いていた里香が訊ねた。
「そうね、私たちはわんランドに帰ってじっくり作戦を練ることにしましょう。さあ、帰りましょうか」
「ええ、もう帰るんですか? ラッキーは大丈夫でしょうか?」
 奥さまは困った表情をして江美にしがみついて訊ねた。
「大丈夫だと思いますよ。もし脅迫電話があったら、すぐ電話くださいね」
「わかりました。よ、よろしくお願いします」
 おどおどしている奥さまを励まして、江美たちは急いで大沢邸を去った。

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