それゆけ忍者
【自作小説】幸運をまねく奇跡の仔犬と忍者のヒューマン物語
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第二章 その10
 江美はこぼれるような笑顔で会釈してから、
「ウチはペットショップわんランドの服部江美、あそこで奥さまと話している女性はアシスタントの木村里香。それと庭をウロウロしていた黒い雑種犬はどんべえ。どうかよろしくお願いします」
 すると警官の中村は訝しい表情をしながら、もしかすると服部江美さんは伊賀の……と訊いたとき、江美は話しをさえぎって、
「内緒よ……」
 と言って、人差し指を口にあてた。
 そのときガレージの自動シャッターが開いてベンツに乗った大沢功夫が慌ただしく帰って来た。
「純子、大丈夫か?」
「あなた、ごめんなさい。用事をしているときに、いつの間にかラッキーが消えたの」
「うーむ」
 大沢は深く呻いて、沈黙した。
 ちょっと大沢の表情のおかしいと感じた江美は、
「始めまして、私はわんランドの服部江美です。よろしくお願いいたします」
「こちらこそよろしく、家内から噂は聞いていますよ。この度はお世話になります」
「ご主人、たいへん失礼なことをお訊ねしますが、誰かに恨まれるようなことはないでしょうか?」
「えっ……恨まれる?」
「そうです、お仕事関係で恨まれるようなこと……」
「さあ……心当たりはないですが」
 しばらく考えて憂いのある表情で大沢は呟いた。
20080505.jpg
 
 玄関の方から「ワン・ワン」と大きな鳴き声が聞えてきた。みんな一斉に玄関を見ると、どんべえが外から帰って来て江美を呼んでいた。江美は話しを中断して玄関へ行ってどんべえから報告を聞いた。
「ワン・ワン……さんぽコース以外はラッキーの匂いはないよ」
「そうなの、ご苦労さん」
 江美はどんべえの頭を撫でながら言った。するとどんべえは、
「クン・クン……門の前から庭までここにいる人以外の男の匂いがするよ」
「えっ、男の匂いが……」
「ワン」
「ありがとう、どんべえ」
 江美はどんべえの背中を優しく撫でて労った。
 急いでリビングに戻って来た江美は、
「奥さま、昨日から今日の午前九時頃までに男性の方が訪ねて来ましたか?」
 奥さまはしばらく思い出すように考えて、
「いいえ……子ども以外はどなたも訪ねて来ませんでした」
「やはり、ラッキーは怪しい男性に連れさられたようですね。おそらく庭で遊んでいたラッキーを乗り物で連れ去ったようです」
 それを聞いていた大沢は怪訝な表情をして江美に訊いた。
「江美さん、なぜそんなことがわかるんですか?」


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