それゆけ忍者
【自作小説】幸運をまねく奇跡の仔犬と忍者のヒューマン物語
第二章 その2
 ラッキーもリビングで「ワン・ワン」と、かわいく鳴きながら尻尾を振って走り廻っていた。
 二人はソファーに腰を沈めると、奥さまは珈琲を持ってきてくれた。珈琲カップもイタリア製のおしゃれで豪華な陶器。さすがの江美も始めて見る逸品だった。
 奥さまは上品に珈琲を一口飲んでからしみじみと話し始めた。
「私は結婚して二年後に流産したの、それからは子どもができなくて、いくらほしいと思って努力してもできなかったの。子どもはつくるというより授かるという意味がしみじみわかります。夫婦だけでは寂しいものですから、犬を子どもと思って飼っていたんですよ」
「そうなんですか、子どもができなくて……」
「実はこの子の名前でいろいろ悩んだの。ラッキーじゃあなく違う名前にしようと思ったんですが、やはり初代のラッキーが忘れることができなくて、この子を三代目のラッキーにしたのよ」
「えっ……三代目?」
「そう三代目なの。初代のラッキーは確か二十年前になると思うわ。コリーですごく賢い犬だったのよ」
「コリーと言えば、アメリカのテレビドラマですごく人気があった名犬ラッシーを思い出しますね」
 江美がそう言うと……奥さまは不思議な顔をして、
「私はその名犬ラッシーのテレビドラマを見てコリーが好きになったのよ。でも、なぜ? 江美さんはお若いにそんな昔のドラマを知っているの?」
「ウチは映画やドラマが大好きだから、よくビデオをレンタルして観てるんです。特に動物の出演する作品はすべて観ていますよ」
「それで……納得したわ。うちの主人も映画やドラマが大好きなのよ」
「へえ……ご主人も好きなんですか」
 江美は珈琲を一口飲んで、奥さまの話に耳を傾けた。
「もう三度の食事より好きみたいですよ。あら……話しがズレたわね、ごめんなさい。それから初代ラッキーと十三年間一緒に暮らしたのよ。亡くなったときは実の子どもが死んだように悲しくて寂しかったわ」
「お気持ちはわかります……犬も一緒に暮らしていたら犬じゃなく。もう、子どもと同じですよね」
 静かに聴いていた、里香がしみじみと言った。
「本当に子どもだと思って飼っていたものですから……余計に辛くて。それから二代目はミニチュアダックスを飼ったの。すごくかわいい犬だったんですが、去年ガンで死んだの。手術が成功して完治すると思っていたんですが、再発して……かわいそうだったわ」
「ガンって人間でも犬でも怖い病気ですね」
「本当にガンは怖い病気だわ。特に犬の場合はどこが痛いって言えないから、食欲と便の状態を見て判断してあげないといけないでしょう。二代目のラッキーはちょっと体調がおかしいなと思ったとき、もう胃ガンはかなり進行していたの。もっと早く気づけばと後悔しているのよ」
「そうだったんですか……かわいそうに」
 江美と里香は涙を浮かべて呟いた。

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